第18回 紀の川蟲lab
2025.11.10
背景
100円ショップ・ダイソーの子会社である大創出版によるカードゲーム『蟲神器』の人気が高まっている。そこで、知り合いの果樹農家のOさんが、紀の川市役所企画課勤務のTさんと、公式大会を認められている認定アンバサダーのA君とともに、地域の自然教育コンテンツとして活用できないかと考え、公式大会を紀の川市で開催した。
既に1月に開催した第1回大会は、盛況のうちに終わっていた。
私は、桃の開花時期に合わせて開催された第2回大会に参加することができた。
ちなみにこの『蟲神器』は発売から約2年半ほど経つが、紀の川市の発足日と同じ日に発売されたらしい。
参加者

カードゲーム好きの枠として、堺から来たライオンさん、紀の川市漁協勤務のトシ君、親子でカードゲームが好きなエンジさん夫妻、そして数人の子供たち、虫好きの枠として、泉佐野から来たギドラさん、お母さんと子供が参加した。
そのほか、初心者の社会福祉士の方が参加し、今回初参加は5名程度だった。
午前の体験交流会
午前中は大会前にいろいろなデッキを試す交流の時間で、運営メンバーとも少しずつ話すことができた。
ライオンさんは35歳で同い年。堺から自転車で来ており、しまなみ海道を走ったり台湾を一周したりとアクティブな人だった。
トシ君は28歳。紀の川ボウルなどでも大会を開催しており、主催のA君に「参加費200円は安すぎる」「ガチ勢の大人からは500円から1000円程度徴収して、次回大会の景品や広告宣伝費用に使って、参加者を増やした方がいい」「無料大会はレアカード目的の人が集まり、カードを楽しみたいコミュニティではなくなってしまうリスクが高い」といった現実的なアドバイスをしていた。彼は一見ぶっきらぼうだが、場を盛り上げる計算が上手く、子供との対戦では接戦を演出したり、大人との勝負でも感情を豊かに使って全体を盛り上げていた。
虫好きのギドラさんは28歳、泉佐野から電車で来ていた。虫の標本や雑誌を持参してくれて、会の雰囲気をとても明るくしてくれた。説明も丁寧で、子供たちにも優しく、安心感があった。昼食時には虫を探しながら子供と遊んでおり、課外活動系イベントでも活躍しそうだ。以前、青森で1年ほど農業をしていたという話から、Oさんとも話が盛り上がっていた。今後の展開に期待が持てそうだ。
主催の一人A君は20歳の大学生。教育分野に関心があり、その一環で蟲神器を知り、教育的に活かせると考えてアンバサダーになったという。
「教職が自分のやりたいことかは分からないけど、そこに入らないと得られない経験もあると思うので、一度教員になれたらいいと思う」と話していたのが印象的だった。
彼は貝塚市の昆虫博物館でイベントを開いたり、公民館事業とのコラボを考えたりと、社会教育的な視点を持っている。
また、カードショップでのアルバイト経験から、インバウンドの客が多く、「免税対応の有無が今後の店舗運営を左右する」といった話や、「高レアリティカードはメルカリで3000円以上の価値が付く」といった現場感覚も共有してくれた。
「このゲームで一番大事なのは勝ち負けよりも、最後に健闘をたたえ合うこと。勝ち負けと同じくらい大切なことがあるということを伝えたい。」という言葉にも、彼の教育的な視点が感じられた。
昼食

昼は秋葉台公園で、Tさんの知人のお花屋さん兼カフェ店主の方が作ってくれたホットドックをいただいた。桜と桃が満開で、予報に反して快晴。ピクニック形式で、穏やかで気持ちの良い昼食だった。
このとき、蟲神器の常連プレイヤーたちは運営体制について熱く語っており、「人気が予想以上で人手が足りていない」「事務作業が回らない」「エクセルができる人がいれば現場が変わる」といった具体的な話が印象的だった。
近くのかきもも試験場の桃畑も満開で、参加者にも好評だった。
午後の公式大会
午後は4戦の戦績で優勝者を決める形式で大会が行われた。自分はスターターキットで同じく初心者のMさんと対戦した。
ルールはシンプルで、赤(肉食)・青(液食)・緑(草食)の3属性があり、赤は緑、緑は青、青は赤と攻撃が2倍になる関係がある。6枚のカードで自分を守るが、相手に攻撃されると1枚ずつ減っていき、守り札がなくなった状態で攻撃を受けると負けとなる。
単純だが戦略性が高く、プロの戦いを見ていると奥深さを感じて面白かった。
Mさんの「農家から見ると、緑(草食)には許せない奴が多いな」という一言には思わず大笑いしてしまった。
試合は一度は優勢だったが、周りの常連プレーヤーがMさんを応援し始めると逆転負け。それでも初心者でも楽しめる完成度の高いゲームだと実感した。
合間には、自分が持ってきた果物の種(桃、すもも、デコポン、きよみ)を使ってクイズを出した。すると、やはり種のことはあまり知らなかったようで、子供よりもむしろ大人が食いついてくれた。特に桃の種は誰も一発では当てられず、出題者冥利に尽きる結果となった。。親御さんから「植えたら本当に桃ができる?」と聞かれたので、「ぜひ試してみてください」と伝えて、種を渡した。良い反応だったので、このようなクイズはまた別の機会にもやってみたい。
大会後は、Oさんによる虫クイズが行われた。実際の昆虫の習性とゲーム内の攻撃技を比較しながら考える内容で、「芋虫の足の役割」「蝶の鱗粉が落ちない理由」など、子供たちが自然に考えるきっかけになる良問ばかりだった。回答役に昆虫好きのギドラさんが登場する形式も盛り上がり、知識共有と場の一体感の両方を生み出していた。
ここで時間は17時となり、第2回大会も大盛況の中で幕を閉じた。
感想
初心者の自分でもとても楽しめた。参加者たちは皆、いわゆる「オタク」的な熱量を持ちながらも、明るく社交的で、場の雰囲気を前向きにしてくれる人ばかりだった。
また、紀の川市には、Oさんのような教育的視点を持つ農家、花屋兼カフェの経営者、社会福祉士、アイデア豊富な元キャリアウーマン、漁協職員など、面白い活動をしている人が多い。こうした人たちが緩やかに連携していくことで、地域全体の活気にもつながっていくのではないかと感じた。
紅八朔最高においしかったです!第3回も絶対行きます!本当にありがとうございました!!
かめっち先生の旅はまだまだ続く(毎週月曜日更新)