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第15回 見えているものの、向こう側。 | 合同会社AKIAGRI

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第15回 見えているものの、向こう側。

2024.05.08

 

前回の話題は、今から50年以上前に発売されていた「アクションかるた」というものについてでした。

「犯罪防止」といういたってまじめなコンセプトを、これまたきわめてまじめに絵画化して、「かるた」というこの時代でも古典的なゲームとして商品化したもの。令和の時代になると、この「アクションかるた」の世界を話題にする人はほぼいなくなってしまいましたが、、私は今でもこの「アクションかるた世界」に魅了されています。その、「なんか、変」な世界に。

では、この「なんか、変」という怪しい波動は、どこから発生しているんでしょう。

「アクションかるた」の取り札の絵柄の一例、もういちど見てみましょう。

これを見ている私たちは令和の人間。この絵は昭和40年代に描かれましたが、現代人としての私たちは、この絵から何を感じるのか。いかがですかな。

1.手前の男性にまつわること。

・このスーツの色合い、尋常ではない。

・ハットとスーツの色をコーディネートしたのは意図的か。そのセンスは。

・この方は最年長か。三人の中での地位は。

2.右の茶色ジャケットの男性について。

・現代ではレアな髪形はこだわりか。腕組みしつつ歓談する風貌の存在感は。

・年齢的にも地位的にも中堅どころ。日頃の仕事はきっちりやるタイプか。

・黄色スーツの男性との人間関係はいかようなものか。

3.奥のサングラスの男性。

・前の二人より若いようだがクールな印象。

・二人の男性との距離感に微妙なものを感じる。

4.この三人について。

・何か同じ集団に属しているようだが、いかなる集団か。

・真っ赤に塗りつぶされたバックは意図不明だがなんだか平穏でないものを感じる。

三人の人物を3つのパーツに分けて細かに見ていけば、全体をながめていたときよりもたくさんのものが見えてきますね。それを再度まぜてみたら、こんな物語ができる。

今日はグレン商会総務課の社内旅行だ。集合時刻よりかなり早く到着したのがこの3人。

茶色のジャケットのおじさんは山田係長45歳。「昔はちょっとヤンチャしとったけどな」が口癖だが、地元の少年野球のコーチと町内会の幹事をやっている。面倒見はよい方だ。うしろにいるサングラスの若手社員をよくかわいがるが上司にはいつもストレートな意見を述べる。今日も「課長、社内旅行にまっ黄色のスーツってどうなんすかねえ」。

数年前に買ったけどずっとしまい込んでいた黄色のスーツを社内旅行に来て登場した小山課長56歳は「お、そうかそうか。久しぶりの社内旅行でどんな格好すればいいんかわからんくてな。」と鷹揚に笑う。一見風采の上がらない彼は自分なりに社内でのふるまい方をわきまえているのだ。山田係長は容赦なく「わしら昭和生まれは着慣れた格好がいちばんですよ。なんか、浮いてますよ課長。」とさらに辛口の批評。

ふたりの会話を静かに聞いていた入社3年目の川上良太郎26歳は今日も思う。

「社内旅行でもウチの課は山田係長がリーダーかあ。いい人なんだけど暑苦しいんだよな。課長はよく我慢しとるよ。あ、俺も黄色いTシャツを着てるぞ。これはしまった。白いボーダー柄がジャイアンみたいでちょっと気になったんだがな。そのうち係長になんか言われるかもしれんな。しかし黄色いハットにスーツよりはマシだ。あれは吉本新喜劇に出てくるチンピラよな。こういう役柄を引き受けてくれるから小山課長、ある意味すごいわ。それにしてもこの会社大丈夫かなあ。転職するなら若いうちよなあ。係長に相談なんかしたら本気で引き留めてくれるだろうけど、確実に大騒ぎになるぞ。ここは課長に少しずつこっちの意向っていうやつを伝えといたほうがいいんかなあ。うーんどうしたもんかなあ。」

社員それぞれの思いを乗せて、社内旅行は進んでゆくのだった。

どこにでもありそうな人間ドラマの、プロローグを覗いてみた感じですねえ。

もう一度、絵柄を見てみましょうね。

改めてこの絵を見てみれば、さっきの人間ドラマの一コマと言ってもまあ大ハズレはないような気がします。しかし。

この取り札に対応する読み札は、これなのです。

ぐれん隊、とは何か。ほぼ死語だけど漢字で書くと「愚連隊」となり、暴力的な行為を常習とする不良若者集団のこと。その「ぐれん隊」が「まちにはびこる」わけですから、これは看過できない事態なのですね。まさに犯罪撲滅をコンセプトとする「アクションかるた」において、取り上げざるをえない社会問題でありますな。

さらに言えば「はびこる」という言い方もなんだかすごい。漢字だと「蔓延る」となり「ろくでもない奴らが勢力を広げて横行する」みたいな意味だ。

この絵が、「まちにはびこるぐれん隊」を描いたものに見えますでしょうか。

昭和40年代の世相では、これは「愚連隊」すなわち「ろくでなし」を写実的に描いた、ということなのでしょうね。しかし、令和の時代にはびこる「反社」とか「半グレ」のイメージにはならないでしょう。3人それぞれの描かれ方からも残忍な犯罪者とは見えないし、改めてこのまっ黄色のスーツの男性が、かなりにおマヌケなオーラを発していることに気づくのです。

「ま」の取り札だから、読み札を訂正して差し替えればいいのだな。

「まちに待った、社内旅行」。

「アクションかるた」を、深く楽しむためのメソッドがここにあります。

 

目に見えていることの、向こう側をみること。

 

アクションかるたの取り札に描かれた絵、その向こう側にあるかもしれないドラマを読み取る。

前回、この「アクションかるた」を楽しむことは「観察力と洞察力、そして感性を磨くためにとても役に立つトレーニング」です、とご紹介しました。まさにそうなんです。

世の中が、私たちに見せてくれる風景。それは実像なのか。

マスコミやネットが伝えてくれる情報。それは真実なのか。

「ぐれん隊はびこる」と報じていても、それは「グレン商会総務課の社内旅行」なのかもしれない。何が真実なのか、もはや誰にもわからなくなりつつあるんじゃないでしょうか。今という時代だからこそ「観察力と洞察力と感性」を磨くしかないですよ。

さて、こんなお話を長々と続けてまいりましたが、今回のテーマ「見えているものの、向こう側」を感じ取ることの意味を、これから話題にしようと思っています。

このエッセイでお伝えしたいと思っていることの、ついに中心部分に近づきましたよ。

まず、この写真をご覧ください。

はい。スイカです。

しかし、四角い。

これは画像の加工で四角にしたのではなくて、完全にリアル。産地は香川県善通寺市。

ふつうならありえない「四角いスイカ」の像。

これの「向こう側に見えてくる世界」にご案内しましょう。

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