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第11回 ご隠居、脱出する。 | 合同会社AKIAGRI

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第11回 ご隠居、脱出する。

2023.12.17

 

前回は実にもやもやした終わり方でした。

職業から離れたおかげで得た自由とは裏腹に、いきなり「どぽっ」って言う感じではまった沼。ここからどうやって脱したか。「早よう続きを書いてんか」という声が少しだけ聞こえてきました。

早速その続きを書こうとしてるんですが、まず「今の私は何をしとるのか」の説明をしなくちゃいけません。

現在の私は職業はもっていませんが、ひとつの立ち位置をいただいています。。それが、「無花果もえぎフリースクール」のボランティアスタッフ。

詳しいことはそのうち語ることにしますが、公職を離れた次の週から、岡山市北区にあるこのフリースクールに週2日のペースでお手伝いに行くことを始めたのでした。ボランティアだから無報酬です。ここで、私は完全な裏方として動いています。

スポーツで言えば選手でもコーチでもない、グラウンドキーパーとか用具の準備とかをやる人ですね。

しばらく「無花果もえぎ」の様子を見て、私が選んだ仕事がこれ。

トイレそうじ

子どもたちは決まった時程で動いていないので掃除当番みたいな活動が難しく、またスタッフはとっても多忙なので、環境を整えることまでなかなか手がまわっていない。よし、まずはトイレそうじだ。

よく知らないけれど、お寺で修行するお坊さんにとって、そうじは大切な修行みたいだ。こんなもやもや状態の自分にはいいのかもしれん。

この直感は、アタリでした。

トイレそうじはなかなか奥が深い。今でもなぜか、便器をみがいてるとすごく集中します。何かを考えながら、というのはむしろできないです。「この汚れを落としてやれ」などと思ったのは最初だけで、いつも頭の中からっぽでひたすら便器をこする、こする。

無花果もえぎにはトイレが3つあるので、そこが私の大切な仕事場、というか修行の場になりました。すぐにこの仕事は私の大切なルーティンになり、これを中心にした生活のリズムが整ってきました。

そしてしばらくたったころ。トイレをただ清潔にするだけでは物足らない気がしてきたので、こんなことをやってみたのです。

 

 この写真をごらんください。

無花果もえぎフリースクールの子どもたちは、トイレの個室にこんなものがあったら、きっとおもしろがるだろうな。

そう思って、私のコレクションから選んだ「釣りネコ」フィギュア2体を置いてみたのです。

窓辺のネコ2ひきは、まったりと釣り糸を垂れて座っていました。

それから10日ほどたったころ。

いきなり、増えた。

ネコとかオバケとかヒーローとか、いろんなフィギュアが。

トイレの中に出現した、ちいさな非日常の風景。

誰かはわからないけれど、私が置いたフィギュア2体をおもしろがってくれたのは間違いない。もっとにぎやかにしてやれ、みたいなことを考えた誰かが、ここにはいるんだ。

なるほど。そうきましたか。

これは、私がまだ学校の現場にいたころにやっていた、子どもたちの民度を高めるための実験のひとつでした。たくさんの生徒が通る場所に、わざとフィギュアを置いてみる。(この話をご存じの方はおられるかもしれない。使用したのは秘蔵の「水戸黄門フィギュア」でした。)

「そんなものを置いたらすぐに盗まれる。さもなければ壊される。やめた方がいい。」という職員の意見が多かったけれど、やってみたらすごく気持ちのいい現象が起きたのです。

常に配置が変わっている。壊れない。盗まれない。

子どもたちはこう言っていましたよ。

「これ、いろいろ配置を変えたりするのが楽しい。次にここに来たら前とは違う景色になってるんよ。壊すとか持って帰るとか、つまらん。次に来た人をニヤッとさせる方がよっぽど楽しいわ。」

これと同じことが、今の私の修行の場でも起こったのです。

学校現場を去って何年もたったけど、子どもたちは変わっていないな。私のやらかした、くだらない仕掛けをきちんと楽しんでくれている。

壊れるとか盗まれるとか、ありえない。

それどころか、増えた!

この日、おそうじを終えて帰ろうとしたら、聞こえてきた子どもたちの声。

「お疲れ様です!」「ありがとうございます!」「トイレがいいにおい!」

全員不登校だけど、元気あるなあ。

外へ出て奉還町の商店街を歩く。

なんだか、気持ちよく頭がぼうっとしてきたよ。エコーつきで耳に残る子どもたちの笑い声。

そのとき、突然わかったのでした。「私はなにをしたいひとだったのか」の答えが。

私は、ひとを元気づけることが好きだったんだ。

子どもの頃からずっと、面白いことを言ったり変顔したりして、周りのひとを笑わせるのが好きだった。

大人になって学校の先生になったら、不機嫌な子どもたちをどうやったら笑顔にできるかばかりを考えていた。

私がやりたかったことは、これでした。ひとを元気づけること。これがいつも根底にあったんだ。

今までいろんなことをやってきたと思うけど、それらはみんな、ひとを元気づけたいと思ってやってきたのだな。ついに、つながったぞ。

だったら、これからも変わらない。このままでいいんだ。

はい。完全に、沼から抜け出しました。

ひとを元気づけること。これは私だけが立派なことをやっているわけじゃなくて、同じことを無意識にやっている人は世の中にたくさんおられるのでしょう。

職業人にかぎらない。家庭人や学生さんにも。

念のために付け加えると、「ひとを元気づける」という仕事は、かなりの確率でカラ振りに終わります。困っている人はそう簡単に元気になれません。私がやってきたのは「ひとを元気にしてしまう」ことじゃなかった。

カラ振りでもいい。やってみてだめなら、別の手を試してみる。お笑い芸人のネタ作りといっしょだ。スベってもスベっても、次を出すのが彼らの仕事。だとすれば私も、お笑い芸人とよく似た道を歩いてきたのか。ひとを元気づけるって、そんなもんだな。ふふふ。

65歳になって、ご隠居生活に入ってからの苦悩。振り返ってみれば文章にして人に読んでもらうほどのことじゃなかったかなあ。でも長い間自分をはめ込んでいた枠組みから急に解放されたとき、一瞬自分がだれだったかわからなくなったのは確かだ。私はこれから何年生きるかわからないけれど、2023年の春、自分がこんな心境になったこと書き残しておこうか。

 と、考えながらダラダラと長文を書いてしまいました。こんな文章におつきあいいただいた読者の皆さまにはひたすら感謝ですが、このいきさつを知っていただいたからこそ、私は安心して、もっとくだらないことを書けるのだ。

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