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第5回  雑談がとまらない

2023.08.02

気持ちのいいゆるさの雑談はほんとうに延々とつづきます。

  前回の「バルスの謎」が、終わった直後からこんな雑談があとからあとから。

 生徒数名「あ!先生。私たちも、見つけました!『バルス』の新しい組み合わせ。」

 植田 「ほほう。それは、なに?」

 生徒数名「バウムクーヘン・ルービックキューブ・スーパーマン!」

 植田 「お、なんか、勢いあるなあ。」

 生徒数名「まだまだーッ! 倍返し・留守番電話・酢こんぶ!」

 植田 「ええっと。それ、全部ラピュタの中にあるん?」

 生徒数名「もちろんありまーす!」

 植田「・・・・・・」

 何だかくやしいぞ。こうなったら逆に、ぜったいにラピュタの中にはない組み合わせを考えてやる。

 「バルチック艦隊・ルイジアナ州・スーダラ節。」

 「板東英二・累進課税・スシロー。」

 「バカリズム・ルパンが盗んだおたから・すき家の牛丼。」

 だめだだめだ。彼らは「ラピュタにあるかもしれないという根拠」をひねくりだして私を論破するに決まっている。こうなったら必殺技「話題を変える」しかないな。

 植田「昨日、すごい渋滞の中を3時間運転したんだけど、その間ずっと同じクルマのうしろだったんよ。」

 生徒「はあ。それで、なんかあったんですか。」

 植田「ずっと見続けていた前のクルマのナンバーを覚えてしまった。それが『る74-73』だったわけで。」

 生徒「はあ。それが何か?」

 植田「そのナンバーをずっと見ていたもんだから、ついに愛着を感じてしまったのだ。」

 生徒「他人の車のナンバーにですか?」

 植田「いやいや。ひらがなの『る』だ。一度『る』をじっと見てみなさい。全体の形がすでにかわいい。何か、動物みたいで。」

 生徒「なんのことかわからない。」

 植田「最後に、くるっと小さいまるを書くところなんか、すごくかわいいと思わん?」

 生徒「はあ、だんだんわかってきた。」

 植田「つまり、この部分じゃ。(挿絵を参照)『ぬ』にはこのかわいさは出せん。」

 生徒「ははあ。最後、はみ出しちゃってますからねえ。」

 植田「そうそう、わかってきたねえ。」

 生徒「以外と『し』なんかも、すっきりしてかわいいですね。『も』はちょっと残念。」

 植田「横の線がちょっとねえ。」

 生徒「残念ですねえ。」

 ここで、休み時間が終わったので雑談終了。しりとりをしていても、また雑談「バルスの謎」でも、少々やっかいもの扱いされがちな平仮名『る』にスポットを当てた、なかなかしぶい雑談でした。

 この雑談には、私が思いついたオプションがあります。

 平仮名には、現代かなづかいでは使用しない文字がいくつかありますね。

その中に「超絶カワイく、しかもイケてるひらがな」があるんです。

 それは「ワ行のヱ」です。『恵』という漢字のくずし字としてできたひらがな。

 それが、『ゑ』。(挿絵を参照)

 『る』が、サーフィンをしているぞ!

 ゆるいねえ。ゆるいったらゆるい。でも読者の皆さまは、オトナである私が仕掛けているパターンが多いんじゃない?と思われているかもしれないですね。

 

実は、私が「雑談部」を構想するヒントは、ある日生徒から仕掛けてきたこんな雑談だったのです。

 生徒「おはようございます!先生は『モンゴル海軍』って、知ってますか?」

 植田「なにい? モンゴルの海軍? モンゴルには砂漠はあるけど海なんかないぞ。」

 生徒「海はないです。でも、でかい湖があって、そこで活動してたらしいです。」

 植田「え? 今はもうないわけ?」

 生徒「ソ連があった時代です。つまり冷戦下ではソ連側だったそうです。」

 植田「へええ。知らなかったなあ。すごいこと知ってるねえ。」

 生徒「さらにすごいことにですね。海軍の兵士は7名しかいなかったそうです。」

 植田「7名とな?たった7人で何をするん?」

 生徒「実際の仕事は主に観光業みたいなもんだったらしいです。」

 植田「へえ。そりゃディズニーのキャストみたいなもんだな。」

 生徒「はい。そんなもんです。さらにすごいことに、7人のうち泳げるのは1人だけだったそうですよ。」

 植田「うわああ。そりゃまたすごい。役にたつのか。」

 生徒「しかも全員、海を見たことがないそうです。」

 植田「すごい話だ。こりゃあまいった。」

 生徒「まいりましたねえ。」

 こんな、すご腕の雑談部員がいるんですから、私が「まいった」する場面なんかたくさんありましたね。

 私がまさに秒殺でやられてしまった、わずか3秒の雑談。

 生徒「校長先生、おはようございます! 先生って、イケメンですねー!」

 植田「(内心、ムフフと笑って)いや~、それほどでもありませんよ~。」

 生徒「そうですよね~!」

 植田「…ハイ。まいりました。」

 「雑談部」なるものをご紹介するついでに「雑談そのもの」を延々と展開してしまいました。このエッセイも連載5回になりましたが、今後も気がついたら雑談モードに入っていることが必ずあります。これはもうしょうがないです。どうにかして慣れてください。

 多動なご隠居、として気ままなことをこれからも書き続けます。雑談の演習を行ってきたのは、今後も私の文章におつきあいいただくための、大切な伏線みたいなものでした。

 読者の皆さま。

 これを書いている私と、読んでいただいているあなたは、すでにお互いに『自分と比べて強くも弱くもない」関係にあります。

 これが、きっとここちよい。

そして、次号に続く。

 

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