第32回 2026年5月 八幡浜ミカン研修レポート③|産地・経営編
2026.06.08
かめっちが、Hさんとともに真穴地区のミカン栽培について、ミカン農家のKさんにインタビューをした記録のレポートです。全3回に分けてお届けします。
第3回目は、産地・経営編です。
真穴地区の土壌と気候
K「各地区の特徴を説明すると、真穴地区が最も岩が多く含まれる土壌質となっており、保水力はかなり低く、根っこも50cm程度と言われています。その一方でマルドリではきめ細かい細根がびっしり生成されているので、それも安定した収量の実現に大きく寄与していると思われます。この土壌から堀上された岩を用いて石垣を作っています。真穴地区のみ防風林を利用しており、それは関門海峡から佐多岬を抜けた西北西方向の強風にさらされるからです。もし強風にさらされてしまうと、ウサギに新芽を食べられたよりもひどい状況になり、その樹勢バランスを取り戻すには10年近い年月がかかることもあります。」
H「防風林の手入れがなかなか重要だと聞くことがありますが、やはりそうなのですか?」
K「かなり重たい草刈り機のようなものを用いて、スギ・チョウセンスギ・マキなどの割と背の高い樹を手入れしなくてはならないのでかなりきついです。重要な作業なのですが、できればあまりやりたくないですね。」
H「川上・日の丸はどのような特徴を持っているのですか?」
K「川上は真穴に比べて根が深く入り、水はけが若干悪いことから、味は真穴の方が良いと言われることが多いです。日の丸は、川上と真穴に比較して規模が小さいため、全てが南東方向を向いており、果実の品質が均一であると言われます。これらの地域では、いずれも摘花は行われていません。やはり実感をもってその意味を理解しなければ取り入れられないのだなと思います。」
水の調達と労働力
H「スプリンクラーの水はどこから運んでくるのですか?」
K「3つほど隣の野村というところから長い距離を経てやってきます。あとは近所に湧水が出るところが存在するので、個人的な防除を行う際にはそういった箇所からの水を使用します。」
H「繁忙期の労働はどうしているのですか?」
K「最近は海外人材を頼ることも多くなってきています。真穴の選果場でも何人かマレーシアやベトナムから人を雇っているようです。」

出荷先と地産地消の広がり
H「真穴や川上の共撰からはどこへ出荷されているのですか?」
K「昔は東京市場がほとんど100%を締めていましたが、現在は東京・新宿・多摩・横浜・埼玉という5か所と、たまに京都などにもほんの一部下すという状況です。最近は松山市がミカンのプロモーションを精力的に行い始めたので、愛媛県内にも八幡浜の温州みかんが流れるようになってきました。給食などでも、真穴のミカンがレシピとして採用されるようになり、子供のころから美味しい地のものの味を知ることが重視されてきたようです。ちなみにそれまでは各地域がかわるがわる給食用のミカンを担当していたようですが、生徒と先生からの要望で、真穴ミカンに固定されたという話らしいです。」
視察受け入れと技術の普及
かめっち「年間に60ほどの視察者を受け入れているという話でしたが、農業関係者が多いのですか?」
K「基本的には九州やその他産地からの視察が多いですが、それ以外にも、農研機構のB先生や、愛媛大学のY先生といった研究者や、新宿から来たミカン研究者の卵のような小学生、NHKの美術担当者(現在はより偉いポジションへ)など、思わぬような出会いを、八幡浜の園地内で実現させることができているのは非常にありがたい話です。」
H「それは八幡浜という産地の力もあると思いますが、やはりKさんのおもてなしと人柄ではないかと思います。このように産地をくまなく巡回していただいた上に、技術を余すところなく見せていただければ、何かお返ししたいと思いますし、また来たくなります。」
K「そういっていただけるとありがたいです。やはり技術は留めておくものではなく、広げるものだと思いますので、今後ともよろしくお願いしたいです。」
かめっち先生の旅はまだまだ続く(毎週月曜日更新)