第25回 2025年8月 Famlab8議事録1 ~視察~
2026.01.12
かめっち先生が、熊本県八代市の若手農家で結成された一般社団法人「Fam Lab8(ファムラボエイト)」を視察しました。その様子をいくつかの回に分けてお届けします。
Fam Lab8、Hさんのお話し
Hさん「我々は、親元継承を中心とした若手農家集団で、メンバーはイチゴ、イグサ、バナナ、晩白柚、アスパラガス、稲などといった広い範囲の栽培を行っているメンバーをそろえている。
活動の根幹を支える3本の柱として「循環化」「省力化」「魅力化」を挙げており、これらを目指すために小さな実証実験に多く挑戦し、3本の柱をしっかり立たせることで社会貢献や経営安定などを通じた農業と社会との友好的な関係性の再構築を目指している。
熊本や八代の文化について少し説明すると、八代は日本でも有数の干拓地に存在しており、400年ほど前にお米の増産を目的に開発された。よって八代の新幹線よりも海側の地域はほとんど海抜0メートル地帯であり、これによって満潮時は海から川への海水の逆流などが問題になったり、今回の雨などでも、浸水してしまうと水を逃がす方法がなくなってしまうような事態に陥りかねない事情をはらんでいる。
それゆえに、水利施設、特に石垣などを有効活用しながらうまく治水を行っていた歴史と文化を町のいたるところに感じることができる。熊本城は、加藤清正によって建てられたという歴史的背景が注目されるが、石垣が反りあがったような形になっているのも匠の技だ。

また、八代はトマトやイグサで日本一を誇っており、特に近年は施設トマトが非常に盛んだ。トマトが盛んな理由は、イグサが廃れてきたときに、市がトマト用の施設に9割の補助を出して振興策を打ったことが大きな要因で、気づけば日本一の生産量にまで達していた。
八代の人間は、結構向う見ずに走り続ける無鉄砲なエネルギーがあるように感じるが、こういったエネルギーを良い方向に行かせたら面白いことができるだろうと感じている。ちなみに晩白柚とい草に関しては、世界一である可能性も高い。
最後に、地域の伝統的な農業歌である「おざや名所」について少しお話ししたい。これは今にも通用しそうな思春期の切ないラブロマンスなのだが、農業が地域から減少していくにつれて、盆踊りなどでも扱われなくなってきてしまっている。こういった伝統を守りつつ、アグリスポーツによる攻めの姿勢も両立することで、就農していなくても、地域住民の心の中に農を植え付けていくことを目指したい。」
大鞘樋門群視察
かめっち「石垣で水を抑えるとき、とにかく石と石の間に水が入らないようにする必要があると思うのだが、隙間を埋めるパテのようなものがあったのか?」
Hさん「石垣は2層で作られており、それぞれの隙間は木の枝と砂利とをうまく利用して埋めて、水はすべて樋門を通るように仕掛けられている。ちなみにこの辺りは球磨川という日本三大急流としても有名な川が流れており、その溢れた水が熊本城のお濠に利用されたという逸話もあるように、熊本の人間と洪水は歴史的にも長いお付き合いだったようだ。」
かめっち「その豊富な知識とプレゼン能力は、何か観光ガイドの資格などを持っているのか?」
Hさん「そういった資格は一切取っていないが、そもそも人に歴史を説明するのが好きなことと、肥料会社に13年勤務したプレゼン能力の賜物ではないかと思う。」
かめっち「農業と文化、ということを強調する人が多い一方で、文化に対する知識を正確に説明できる人が非常に少ないと思っている。でも、林さんほど面白く文化を語れる人がいると、文化財保護系の関係者とも協調できるかもしれない。」
Hさん「まだそういった動きはしていなかったが、八代にも農業以外で社会貢献を頑張っている方がたくさんいらっしゃるので、famlab8の主たる取り組みである「循環化」「省力化」「魅力化」を磨き上げていく中で、規模拡大を迎える際にはコラボレーションしていきたいと思っている。」
Kさん「自分は、元々地銀に勤めていたのだが、その時の人脈がいろいろな地域人材との交流につながっており、情報もいろいろと入手しやすくなっている。そういう中で、文化と観光をつないで収益化し、ゆくゆくは文化財保護にも充当できるような取り組みもして行ければと思う。今日ご案内した樋門も、地震や洪水などが多発を繰り返す中で、復旧工事が後回しになってしまっているので、famlab8によるアグリスポーツが農業以外でも、現場で働く人たちの持つ匠の技全体に光を当てる取り組みになればよいと思っている。」
Rさん「そういえばfamlab8さんのメンバーにはトマト農家はいないのか?」
Kさん「トマト農家はトマト農家で全く独立した組合のようなものを設立しており、あまり我々のような多角的な活動と親和性が高くないように感じている。ただ、1軒トマト農家の知り合いが友好的に付き合ってくれているため、程よい距離感で情報のやり取りをするところから、時が来たら事業の中でもコラボできればいいかな、と思っている。」
Rさん「熊本県の4Hクラブ担当者とは仲良くしているのだが、その人から中々うまくいかないといった話も聞いている。」
Kさん「確かにそうだ。やはり新しい方向性の取り組みに関しては、鶴の一声で否決にひっくり返ってしまうことなども多いので、今後いかにして地域全体で保守的になりすぎないかを意識する必要があるだろう。こちらとしても、いきなりスケールすることばかりに気を取られすぎず、まずはfamlab8として今行っている事業に注力し、そこを軌道に乗せながら地域にも還元するという結果で説得していくための努力が欠かせないと感じている。」

Fさん「famlab8のメンバーは皆さん4Hクラブ出身なのか?」
Hさん「そうだ。現役の4Hクラブ在籍者とOBで構成されているため、平均的にはかなり若いが、20代から40代までと捉えれば広い世代にまたがった意見を反映できていると認識している。やはり観光においても、20~40代の方に来ていただき、長いお付き合いをしていきたいので、そういう世代が何を求めているかが同世代としての肌感でわかるというのは大きいと思う。」
Mさん「HさんのWCS(稲発酵粗飼料)は何の品種を育てているのか?」
Hさん「WCSは、収穫は出穂前で問題がなく、むしろ畜産用の飼料なので穂は大きくなくてよい。なので今右手に見える収穫が済んだ水田はWCS用の水田だと思う。品種はミナミユタカを栽培している。」
かめっち先生の旅はまだまだ続く(毎週月曜日更新)